ナースコールが鳴っただけで肩が跳ね、まだ内容も分からないのに「私が行かなければ」「対応できなかったら」と身構える。コールが鳴っていない時間まで次の音を待つようになると、勤務中ずっと休まりません。

新人看護師が音だけで緊張するのは、性格の問題だけではありません。音そのものより、鳴ったあとに起こる判断、責任、周囲の視線が一つに結びついているからです。
この記事では、鳴る前・鳴った直後・対応後に分けて、警戒を少し下げる方法を整理します。
ナースコールの音だけで緊張する理由
私も新人時代、コール音で体がこわばり、肩が跳ねることがありました。

誰もすぐに動かないナースステーションで「誰が取るの?」という空気を感じ、自分が取ればその後の対応も一人で背負うのではないかと不安でした。
音の先にある内容を予測できない
水分補給や室温調整の希望かもしれませんが、転倒や呼吸苦など急いで確認すべき変化の可能性もあります。経験が少ないと、音を聞いた瞬間に最悪の場面まで想像し、内容を聞く前から体が緊張します。
受け持ち以外のコールにも責任を感じる
自分の患者さんではなくても、誰も取らなければ気になります。
一方、コールを受けてから担当者へつなぐ方法や、自分でどこまで対応してよいかが曖昧だと、手を出すことも待つことも怖くなります。
静かな時間も次の音を待ってしまう
コール対応で困った経験が重なると、鳴っていないのに意識がPHSへ向きます。休憩中や帰宅後も似た電子音に反応し、PHSの音が残っているように感じたこともありました。これは診断名を決める材料ではありませんが、疲労が抜けていないサインとして休み方や相談を見直す必要があります。
鳴った直後は内容を聞いてから優先度を決める
音を「すぐ解決しなければならない合図」ではなく、「まず要件を確認する合図」と捉え直します。受けたら、名乗る、要件を聞く、復唱する、いつ伺えるか伝える、必要なら応援を依頼する、の順です。
- 「お待たせしました。どうされましたか」
- 「息苦しさがありますか。すぐ伺います」
- 「担当者へ伝え、〇分ほどで伺います」
- 「今すぐ一人で対応できないため、応援を呼びます」
呼吸苦、意識変化、転倒など緊急性が疑われる内容は、勤務先の基準に沿って直ちに応援を呼びます。電話越しで判断しきろうとせず、確認と共有を先にします。

病棟で先に確認しておく3つのルール
- 受け持ち以外のコールを取ったあとの連絡先
- 一人で向かわず応援を呼ぶ内容
- 処置中など、すぐ行けないときの伝え方
ルールが曖昧なら、教育担当者へ「私が取ったあと、どこまで対応して誰へつなぐかを確認したい」と聞きます。

全てをあなたが背負う必要はありません!役割を共有することが安全につながります。
コールの内容別に最初の一言を決めておく
1.排泄介助や移動の希望
転倒リスクや活動範囲を確認し、「一人で立たず、そのままお待ちください。今伺います」と伝えます。別の処置中で行けない場合は担当者や近くのスタッフへ具体的に依頼します。
患者さんに待ってもらうときは、してはいけない動作と訪室の目安を伝えます。
2.痛みや息苦しさなど体調変化
いつから、どの程度、意識や会話に変化があるかを短く確認し、緊急性が疑われればすぐ応援を呼びます。電話越しに原因を決めず、訪室して観察し、勤務先の報告基準に沿って対応します。
「新人の自分が解決する」のではなく、必要な人へ早くつなぐことが役割です。
3.物品や室温など急を要しない希望
要件を復唱し、「今の処置後、〇分ほどで伺います」と現実的な目安を伝えます。約束した時刻をタスクへ残し、遅れると分かったら再度伝えます。
すべてのコールへ走ることが良い対応とは限りません。緊急度を分けて患者さんに伝えます。
音への緊張を減らすためにチームへ相談できること
- 誰が最初に受け、担当外ならどう引き継ぐか
- 処置中のコールを誰が代行するか
- 新人が一人で対応しない症状や状況
- 頻回コールのある患者さんのケア計画と共通対応
「音が怖い」とだけ伝えにくい場合は、「担当外のコールを取ったあと、誰へつなぐか迷って対応が遅れます」と業務上の困りごとにします。
ルールを掲示や朝の打ち合わせで共有できれば、新人だけでなく病棟全体が動きやすくなります。
頻回コールを「わがまま」と決めつけず、痛み、不安、排泄、説明不足、ナースコールの使い方など背景をチームで確認します。一人の看護師が繰り返し抱えるのではなく、対応方針をそろえることが大切です。

休憩中と帰宅後に警戒を下げる具体策

休憩に入る前に、担当を引き継ぐ相手を確認し、「〇〇さんからコールがあれば対応をお願いします。」と言葉にします。
休憩室でも音が聞こえる環境なら、可能な範囲で席を変える、耳栓ではなく安全上許可された休憩環境を上司へ相談するなど、病院のルールに沿って調整します。
帰宅後は、業務用端末を返却した、制服を脱いだ、明日のメモを閉じたという終了行動を一つずつ確認します。似た通知音に反応するなら私用端末の音を別の穏やかなものへ変える方法もあります。ただし、眠れないほど警戒が続く場合はセルフケアだけで済ませず専門機関へ相談してください。
対応を終えたら、息を長めに吐き、肩と手を一度ゆるめます。「必要な確認をした」「担当者へつないだ」と、完了した事実を一つ言葉にします。次の音を予測し続けるのではなく、今の業務へ意識を戻す小さな区切りです。

帰宅後はコール音を再現して慣れようとするより、通知音を減らし、着替えや入浴など仕事の終わりを示す習慣を作ります。私は環境が変わったあと、コール音へここまで怯えなくてよいのだと気づきました。音への反応は、本人の性格だけでなく、誰も動かない雰囲気や相談しにくさにも左右されます。
残る・異動・転職を考える目安
役割確認や同行で緊張が軽くなるなら、現在の職場で支援を整える余地があります。病棟のコール頻度や急性度との相性が大きければ院内異動、部署を越えて相談できず過度な責任を一人に負わせる状態が続くなら転職も比較できます。
眠れない、食べられない、動悸や涙が続く、出勤が難しいなど生活への影響が続くときは、上司、教育担当者、産業保健スタッフや医療機関へ相談してください。
転職サイトへの登録は転職の決定ではなく、別の教育体制や業務量を知る情報収集にも使えます。
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一週間だけ記録して、緊張の正体を見つける
コールが怖いという感覚を、音量、内容、時間帯、周囲の反応に分けます。個人情報を書かず、「日勤開始直後、担当外、誰も動かず緊張」「排泄希望、先輩と同行でき落ち着いた」のように記録します。どの条件で強まり、何があると下がるかを見ます。
記録から、音量や機器設定の問題が疑われる場合は個人で変更せず、医療機器や施設管理の担当者へ相談します。役割の曖昧さが原因なら病棟ルール、対応内容への不安なら症状別の観察と報告を学びます。負担を増やさないための整理です。
ナースコールに出られなかった自分を責め続けない
処置中で手を離せなかった、別患者の急変対応中だったなど、一人では同時に応えられない状況があります。患者さんの状態確認と必要な謝意は大切ですが、その後は「なぜ取れなかったか」「誰が代行できたか」「次回の共有方法」をチームで振り返ります。
自分が遅れたという一点だけを何度も思い返すと、次の音にも過剰に反応します。対応後に事実を整理し、改善策を決めたら、その勤務の反省をいったん閉じます。安全上の報告が必要な出来事は、勤務先の手順に沿って記録・報告してください。
音がつらいことを相談するときの伝え方
「コールが怖いので取りたくありません」では意図が伝わりにくいことがあります。「音が鳴ると頭が真っ白になり、担当外の連絡先を選べません。今週は先輩と二回同行し、つなぎ方を確認したい」と、困る動作と希望する支援を伝えます。
相談後は、役割が明確になったか、同行で反応が下がったか、休憩中に警戒を外せたかを確認します。変化がない場合は、支援内容の再調整や部署の変更を含めて考えます。
FAQ
受け持ち以外のコールも全部取るべきですか?
病棟のルールとその時の業務状況によります。自分だけで抱えず、取ったあとの担当者へのつなぎ方、処置中の代行、緊急時の応援要請を先に確認してください。
コールに出るのが遅れてしまったら?
まず患者さんの状態と要件を確認し、待たせたことを伝えます。原因を個人の反省だけで終わらせず、重なった業務や人員配置を共有し、同じ状況での応援方法を決めます。
帰宅後も音が聞こえる気がします
疲労や緊張が続いている可能性がありますが、ここで原因や診断は断定できません。睡眠や生活への影響が続く場合は医療機関へ相談し、勤務先にも負担が大きいことを伝えてみてください。
まとめ
ナースコールへの緊張は、音よりも、その後の判断と責任が見えないことで強くなります。
次の勤務では「取ったあと誰につなぐか」と「応援を呼ぶ基準」の二つだけ確認してください。
役割が見えると、音を聞いた瞬間にすべてを背負わずに済みます。

この記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
参考資料
- 「新人看護職員研修ガイドライン改訂版」厚生労働省 2014年
- 「こころの耳の相談窓口」厚生労働省
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