新人看護師がプリセプターを怖いと感じる理由|毎日怯えていた私の体験談

人間関係

勤務表を見て、プリセプターと同じ日勤だと分かった瞬間、胸がぎゅっと重くなる。

「また今日も一緒だ……」

本当なら仕事の流れや患者さんのことを考えたいのに、頭に浮かぶのは「今日は何を言われるだろう」「またできていないと思われるかもしれない」という不安ばかり。私にも、そんな時期がありました。

プリセプターは、新人看護師にとっていちばん身近な指導者です。だからこそ、その人が怖くなると、質問・報告・振り返りまで全部が怖くなり、逃げ場がないように感じます。

けれど、プリセプターを怖いと感じることと、あなたに看護師の適性がないことは別の話です。この記事では、私が毎日怯えていた頃の体験を交えながら、怖さが大きくなる理由、厳しい指導との見分け方、相談するときの伝え方を整理します。

この記事で伝えたいこと
新人教育は、本来プリセプターとの1対1だけで抱えるものではありません。怖さで報告や相談が止まりそうなときは、我慢を重ねるより、教育担当者や師長へ「指導を受けやすくするための調整」を相談して大丈夫です。

私はプリセプターと同じ勤務の日が怖かった

新人の頃の私は、勤務表を確認するたびにプリセプターの名前を探していました。同じ勤務の日を見つけると、その日が来る前から気持ちが沈みます。

実際に勤務が始まると、朝からずっと緊張していました。報告や振り返りの時間は特につらく、何をどう伝えるかよりも、相手の表情や声の調子が気になってしまうのです。

「前も教えたよね?」

「振り返り足りないんじゃない?」

そう言われるたびに、できていない自分を突きつけられたように感じました。そのうち、患者さんの状態を落ち着いて見ることより、「怒られないようにしなければ」と考える時間が増えていきました。

プリセプターの機嫌がよさそうなら少し安心し、忙しそうなら声をかけるのをためらう。質問したいことがあっても、「こんなことを聞いたら、また呆れられるかもしれない」と飲み込む。家に帰ってからも言われた言葉を思い出し、次の勤務を考えて落ち込んでいました。

今振り返ると、私は指導内容だけに緊張していたのではありません。毎日評価されているような感覚と、担当者から離れにくい関係そのものが怖くなっていたのだと思います。

プリセプターへの怖さが大きくなりやすい3つの理由

1.教わる相手と評価する相手が同じだから

プリセプターは、仕事を教えてくれる相手であると同時に、技術の習得状況や日々の成長を確認する相手でもあります。

関係がうまくいかないと、「質問したら評価が下がるかもしれない」「分からないと言えない」という気持ちが生まれます。教えてほしいのに、分からない自分を見せるのが怖い。その矛盾が苦しさにつながります。

2.一度きりではなく、関係が続くから

たまたま厳しい先輩と一緒になるだけなら、「今日は何とか乗り切ろう」と思えることもあります。しかし、プリセプターとは振り返り、目標設定、技術確認などで継続して関わります。

小さな行き違いが積み重なると、これからも教わらなければならないことが重くなり、勤務表を見るだけで身構えるようになります。

3.新人側に「私が悪い」という気持ちが生まれやすいから

新人の頃は、分からないことも、できないこともたくさんあります。注意された内容に納得できる部分があるほど、「怖いと感じる私が弱いのかな」「仕事ができないから仕方ない」と、自分だけを責めやすくなります。

でも、改善点があることと、萎縮するほど怖い環境に耐え続けることは同じではありません。できていない点は学びながら、伝え方や指導体制について相談することもできます。

厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」でも、新人を直接の指導者だけに任せるのではなく、部署スタッフ全員で見守り、幾重ものサポート体制をつくることが望ましいとされています。プリセプターとの関係に困ったとき、ほかの人を頼るのは制度から逃げることではありません。

厳しい指導と、怖さで学べなくなる関わりは違う

看護の現場では、患者さんの安全に関わるため、はっきり指摘しなければならない場面があります。声が強かったという一点だけで、相手を悪い人と決めつけることはできません。

見るべきなのは、一度の言葉より「同じ関わりが繰り返されているか」「指導を受けたあと、次にどう動けばよいか分かるか」です。

確認したい点学びにつながる指導怖さが強くなる関わり
指摘の内容行動と理由が具体的人格や能力を否定する言い方が中心
次の行動何を直すか確認できるどう直せばよいか分からないまま終わる
質問への反応確認する機会がある質問すると嫌な顔をされ、話が打ち切られる
一貫性基準や優先順位が分かる相手の機嫌で言うことが大きく変わる
周囲の支援必要時に別の先輩へ相談できる1対1の関係に閉じ込められる

たとえば「この確認を飛ばすと患者さんの安全に影響するから、次はここまで確認してから実施しよう」と言われれば、厳しさがあっても次の行動が見えます。

一方で、人前で何度も責められる、質問しても「前に言った」で終わる、相手の機嫌を読まなければ報告できない状態が続くなら、指導内容だけでなく、受け方や体制を調整したほうがよいサインです。

先輩全般が怖く、ナースステーションへ入ることや誰への報告も難しくなっている場合は、先輩看護師が怖いと感じるときの記事で、病棟全体との関係もあわせて整理しています。

まずは「怖い」という気持ちを、起きた事実に分けてみる

師長や教育担当者へ相談しようとしても、「相性が悪いだけと思われそう」「告げ口みたいで嫌だ」と迷う人は多いと思います。私も、うまく説明できる気がせず、自分の中にため込んでいました。

そんなときは、相手の性格を評価するのではなく、起きたことを短く記録してみてください。

  • いつ、どの場面で起きたか
  • 実際に言われた言葉や指示
  • そのあと自分の行動がどう変わったか
  • 業務や体調にどんな影響が出ているか
  • どんな支援があれば動きやすいか

「プリセプターに嫌われています」では、相談を受けた人も状況をつかみにくいものです。

「振り返りで質問しようとしたところ話が終わり、未確認の点が残った」「声をかけるのが怖くなり、報告が遅れそうになる」のように事実へ分けると、教育上の問題として相談しやすくなります。

記録は相手を追い詰めるためではなく、自分の頭の中を整理するためのものです。患者さんの氏名や病室番号など、個人が分かる情報は書かないようにしましょう。

<!– 挿絵3:帰宅後、私服でノートに出来事と相談したいことを整理する新人看護師 –>

師長や教育担当者へ相談するときの伝え方

相談先は、病棟の教育担当者、師長・主任、話しやすい先輩などです。プリセプター本人へ直接話すのが怖いなら、無理に1対1で解決しようとしなくて大丈夫です。

伝えるときは「相手を替えてください」と結論だけを言うより、困っている場面と希望する調整をセットにすると話が進みやすくなります。

相談の伝え方の例
「〇日の振り返りで確認したいことが残ってから、報告前に強く緊張し、必要な相談まで遅れそうになることがあります。プリセプターを責めたいわけではなく、安全に報告や質問ができるように、しばらく教育担当者にも振り返りへ入ってもらうことはできますか」

お願いできる調整には、次のようなものがあります。

  • 振り返りに教育担当者や別の先輩も同席してもらう
  • その日の目標と確認項目を、最初に短く共有する
  • プリセプターが忙しいときの報告先を決めておく
  • 口頭だけでなく、振り返りシートも使って認識をそろえる
  • 一定期間だけ勤務の組み方や指導担当を調整してもらう

「自分にも改善すべき点があると思います」と添えてもかまいません。ただし、自分が全部悪いという形にする必要はありません。相談の目的は誰かを悪者にすることではなく、新人が安全に学び、必要な報告を止めない環境をつくることです。

声をかけるタイミングや質問の組み立てに困っている場合は、新人看護師が質問できないときの具体的な伝え方も参考にしてください。

相談しても変わらないときは、選択肢を広げていい

私の場合、プリセプターが別の病棟へ異動したとき、張りつめていたものが一気にほどけたように感じました。そこで初めて、「私はずっと怖かったんだ」と気づいた部分もあります。

当時は、どの病院へ行っても同じで、場所を変えても苦しいままだろうと思っていました。

けれど、別の職場を経験して、分からないことを確認できる環境も、失敗を次につなげられる関わりもあると知りました。以前の環境が、すべての病院の当たり前ではなかったのだと思います。

もちろん、怖いと感じたらすぐ転職しなければならないわけではありません。まずは支援者を増やす、指導方法を調整する、院内異動を相談するという選択肢があります。それでも状況が変わらず、働き続けることで心身が削られているなら、転職も自分を守る方法の一つです。

転職サイトへ登録したからといって、すぐ退職する必要はありません。今の職場に残る場合も含めて、ほかの病院の教育体制や働き方を知るために情報を集める使い方もできます。

選択肢向いている状況先に確認したいこと
今の部署で調整する相談できる上司がおり、改善の余地がある同席、報告先、担当変更など具体策
院内異動を相談する病院の制度や待遇は合うが、部署との相性がつらい異動時期、受け入れ部署、教育の引き継ぎ
転職を検討する相談後も改善せず、心身や安全への影響が続く教育体制、相談経路、残業・夜勤、職場見学

体調の変化が続くなら、我慢より先に相談を

プリセプターのことを考えると眠れない、食欲が落ちる、涙が出る、動悸がする。こうした状態が続くときは、「新人ならみんなつらい」で片づけないでください。

厚生労働省の「こころの耳」では、眠れない、動悸がする、涙が出るなどの症状が続いたり、たびたび起きたりする場合は、精神科・心療内科に限らず、内科などの医療機関へ相談することも案内しています。診断を自己判断する必要はありません。まずは休むこと、職場の相談窓口や産業医、医療機関につながることを優先してください。

日本看護協会には、看護職を対象としたメンタルヘルスの電話相談窓口もあります。職場の人にはまだ話しにくいという段階でも利用できます。

「もう少し頑張ってから」と先延ばしにしているうちに、私は心も体もすり減っていきました。限界まで耐えてからでなくても、相談してよかったのだと今は思います。

よくある質問

プリセプターが怖いのは、新人なら普通ですか?

慣れない業務や評価への緊張は、多くの新人看護師に起こり得ます。ただ、勤務表を見るだけで強く怯える、必要な報告を避けそうになる、眠れないなどの状態が続くなら、単なる緊張として我慢しないほうがよいでしょう。教育担当者や師長へ、具体的な場面と影響を伝えてください。

プリセプター本人に直接伝えたほうがよいですか?

落ち着いて話せそうなら、「指摘のあとに次の行動も確認したいです」など、小さな希望を伝える方法があります。ただし、1対1になること自体が怖い場合は無理をしなくて大丈夫です。教育担当者や師長に同席してもらい、安全に話せる形をつくってください。

担当を替えてほしいと相談すると、逃げだと思われませんか?

担当変更だけが解決策ではありませんが、振り返りへの同席、報告先の追加、勤務調整などを含めて相談することは、逃げではありません。厚生労働省のガイドラインも、新人を複数の支援者や部署全体で支える体制を示しています。学びと患者さんの安全を守るための調整です。

相談しても何も変わらない場合、転職してもよいですか?

支援を求めても関わりが変わらず、心身の不調や報告への影響が続くなら、院内異動や転職を検討して構いません。登録や情報収集だけで退職を決める必要はありません。今の職場に残る場合と比べながら、自分が安全に働き、学べる環境かを見てください。

まとめ

プリセプターが怖くなると、勤務表を見ることも、質問することも、振り返りの時間もつらくなります。担当者との関係が続くからこそ、「逃げられない」「私ができないせいだ」と思い込みやすいのだと思います。

けれど、新人教育はプリセプター1人と新人1人だけで抱えるものではありません。まずは、いつ、何があり、仕事や体調にどんな影響が出ているかを整理し、教育担当者や師長へ相談してみてください。相手を責めるためではなく、質問や報告を安全に行うための調整として伝えれば大丈夫です。

私も、環境が変わってから「どこへ行っても同じではなかった」と気づきました。今の関係がうまくいかないことだけで、看護師としての自分まで否定しなくていいのです。今の部署で支援を増やす、院内異動を考える、別の職場を調べる。どの道を選ぶとしても、怖さを抱えたまま限界まで耐える必要はありません。

参考資料

※制度・窓口情報は2026年8月29日時点で確認しています。受付時間などは変更される場合があるため、利用前に公式サイトをご確認ください。

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